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六尺ふんどし

夏本番、海水浴シーズンの幕開けである。

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腕白盛りを鳥取の田舎で育ったことから、ともかく体を動かすことが大好きで、夏ともなると悪がき先輩たちに連れられ近くの池や川で魚取りの傍ら、我流の泳ぎにはまっていた。

もちろん溺れるのは日常茶飯事、水をしたたか飲んで、知らぬ間にカナヅチを卒業していた。

そのころ、うらやましくてしかたなかったのが、「六尺ふんどし」である。

きりりと引き締まった体に、赤銅色の青年がしめた六尺ふんどし姿がかっこよく、「いつか自分も」と思っていたが、なかなかかなわずそのうち子供用の黒い海水パンツをはかされていたように思う。

この六尺ふんどしは厳密には鯨尺で六尺(228センチ)もあるので、腹部に3回り以上巻いて引き締め、臀部は露出されている。

この姿は東南アジア、ポリネシア、中南米に広くみられるので南方伝来説が多いが定かではない。

日本では江戸時代に庶民とくに飛脚たちの間でこの姿が広まり、明治期以降軍隊ではこの「六尺ふんどし」ならぬ「越中ふんどし」が支給されている。

日本の海水浴の歴史は意外に浅く、明治期に陸軍軍医の松本良順医師が「健康に良いので夏は海水浴を」と推奨したのが始まりとされている。

その後、昭和に入り日本もオリンピックに出場するようになると、とくに水泳での活躍が目立ち、昭和3年のアムステルダム五輪では水泳で初の金メダルを、昭和7年のロス五輪では5種目制覇、昭和11年のベルリン五輪では「六尺ふんどし」姿で金メダルラッシュとなり「水泳王国日本」をみせつけたため、この「ふんどし姿にメダルの秘訣があるのでは?」と外人記者から取材攻めにあったそうである。

こんな輝かしい歴史も、その後「おしり丸出しで子供たちが恥ずかしがっている」との父兄の声に押し流され、次第に下火となってしまった。

ただ、最近はむしろ若い女性の間で「Tパック水着」が流行るようになり、かっての若い青年たちの「きりりとして六尺ふんどし姿」が今となっては懐かしく思い出されてくる。

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