■時事ネタコラムvol.15 「イチロー引退から考える ―スタープレーヤーとは―」

■時事ネタコラムvol.15 「イチロー引退から考える ―スタープレーヤーとは―」

2019年3月25日 0 投稿者: 大橋資博

 先日来、多くのメディアがイチローの引退を報じて、私もその偉大さ、すばらしさ、魅力、そして同世代で活躍する人材の第一線からの退場に切なさも感じたりもしているが、イチローという人間がその成績のみならず多くの人にとって神々しく仰ぎ見る存在として地位を確立している理由は、彼の発言や生き様だと思う人も多いだろう。なるほど、今回の引退会見の中でも、自分なりの観点ではあるが、彼が人物として引き付けるものを持っていると気づかせてくれる点がいくつかあったので紹介したい。


・自分を見ている人たちを見る
 球場でも会見場でもそのように感じるのだが、彼は自分を見ている人、特に自分とこれからコミュニケーションを取ろうとする人のことを強くまっすぐに見る。コミュニケーションは存在の認識から始まるというが、相手を認識しますと伝えるという行為はものすごく立派だと私は感じる(当然、睨むとは異なる)。視線だけではなく、見ているだろうな、と言う人のことを考えた発言を行う。私はそういった点は彼の真剣さ、律義さの表れだと思っている。


・満足がどこまで先にあるのかわからない
 本音は分からないが、彼は到達点を見せないため、常に進化を求めているように映る。もしかすると自分の中では成し遂げたな、という気持ちを持った時があるのかもしれないが(無さそうだが)、少なくとも彼は表面的には常に常に先を見ている。理想論を簡単には捨てないということだろう。理想論だって成し遂げれば現実なわけだから、ということだろうか。


・周囲以上に自分が自分に期待する
 時に不本意な状況に陥ったとしても、まず誰よりも自分がもっとやれるだろう、と思っている。それは当然ながらそう思える裏打ちとなるものがあるからである。結果はどうあれ自分が出来ると期待できることを積み重ねてきたのであれば、自分はそれに最大限期待をする、ということだろう。
 


さて、企業にもスタープレーヤーのような存在の人がいたりする。イチローほどの華々しさは無いだろうが、社内で一目置かれており、その人のやること、話すことは力を持っているし人を惹きつける。この人の言うことは何となく聞いておきたいな、この人の下で働きたいなと思わせる。そのスタープレイヤーはやはりイチローのような行動をとっているだろうか。プロ集団の中でこそイチローのようなさらなる超一流の言動が輝くのであって、一般企業ではさすがに難しいだろう。おそらくそこまで輝いてしまうと企業組織ではむしろネガティブな反応が起きてしまうのかもしれない。
 会社でダイヤの原石とも思える人材に出会った時に、その原石を大切にして、より輝きが増すように磨きあげて、素晴らしいカットを施してより輝きを増すような努力を行っているだろうか。それを他の石と同じように扱っていたり、場合によっては輝きすぎて周りとの調和がとれないことを理由に、ぞんざいに扱い輝きを鈍らせたり、カットせずに丸い石ころにしてしまうことはないだろうか。
 企業内のイチローに自分がなることは出来なくても、イチローのような存在になる人材を作りたいとは思う。