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福井の豪雪

投稿日:2018年3月5日 更新日:

今年の冬は雪が多く、北陸地方も記録的な豪雪に見舞われた。

特に福井では県内の国道8号で1500台もの車が立ち往生自衛隊が出動し除雪作業に当たるなど、昭和56年以来37年ぶりの豪雪に見舞われた日もあった

「56豪雪」の思い出は今となっては懐かしい。

当時日銀の福井事務所長勤務を命じられ、まさしく56年初頭雪煙の中を任地に赴いた。

雪ですっぽり埋まった所長宅で前任所長との引継ぎをしたが、玄関は通れないので二階の窓から出入りした。

「びっくりされたでしょう?でもしばらくすると慣れてきますよ」

人のいい感じの前所長さんからの言葉であった。

翌日、雪のトンネルを通り抜けながら会社に向かった。

間借りしていた地元銀行の頭取に着任のごあいさつに出向いたところ、開口一番「お隣に住んでいるが、愛犬がこの雪で行方不明になった。

お宅の庭は雪捨て場になっているようなので、その中に生き埋めになっているかもしれない。

雪が解けてからでいいので、消息が分かれば教えてほしい」こう言われた。

お子さんがなく、ご夫婦で犬を飼って可愛がっておられたようだ。

「わかりました。雪解けを待ってご報告に上がります」

早速、事務所の職員に「雪はいつ頃になると溶けるのでしょうか?」

地元入行の年配女性は「これだけの積雪ですから、たぶん早くてGW空け頃になるでしょう」ケロリとして言われた。

半年近く経って雪解けを待ち庭を探したところ、どこにも犬の亡骸はなかった。

「愛犬は見当たらなかったです」早速こう報告したところ、「そうですか。どこかへ行方不明になったのかもしれませんね。ありがとうございました」としょんぼりとした声が返ってきた。

この豪雪のさなか、経済学者で森鴎外の研究者でもあった、吉野俊彦理事が慰問を兼ねて福井にたずねてこられ、一晩お酒を酌み交わしながら豪雪地帯での日銀券輸送の気苦労などいろいろなお話をうかがい勉強になった。

のちに日銀を退職されてから、小生の釧路支店長勤務時代にも「森鴎外と親交のあった石川啄木の釧路時代を知りたいので案内してほしい」と頼まれ数日お伴をしたことがあったが、豪雪の福井ともども懐かしい思い出である。

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