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平成から令和へ

投稿日:2019年4月8日 更新日:

平成が31年で終わり、新しい令和の時代になった。
平成はどんな時代だったのか?どんな出来事があったか?自らの体験も踏まえつつ、少し
振り返ってみたい。

昭和が終わるころ、日銀の中間管理職を終え、支店長として日本最東端の釧路に赴いた。
駅頭には啄木の句碑「さいはての 駅に降り立ち 雪あかり さびしきまちに 
歩み入りにき」があった。2年半の在任期間であったが、啄木には申し訳ないが数多の地方暮らしの中でいちばんの「思い出いっぱい」の土地となった。

時変じて、バブル経済は膨張から崩壊へと移り、金融界は未曽有の荒波にもまれた。そん
なさなか、時の日銀総裁三重野康の命により山口県の小さな第二地銀の経営に携わるとこ
ろとなった。「赤信号 みんなで渡れば怖くない」当局の護送船団行政により銀行不倒神
話がまことしやかにささやかれていた平成7年頃のことである。

「経営のかじ取りをやらせたかった。いばるな、内も外もやれ 施政方針はすぐ出すな
、 気合をそろえろ、ともかくつぶすな」激励の言葉とともに任地に赴いた。

不良債権の処理に追われる中で同業の仲間が相次いで姿を消していった。メガバンクも公
的資金の助けを受けながら、再編の波に飲み込まれ都市銀行は13行が3行に激減した
。「自分たちの足で立つピリリと辛い銀行を目指そう」という合言葉で、いろいろな先進
的な取り組みを展開した。

特に力を入れたのが、「いち早く不良債権を克服しよう。その
ためには横並び経営から一刻も早く脱却しよう」「フットワーク、ネットワーク、チーム
ワークこの3つのワークを忘れず、新しい施策に果敢に取り組んでいこう」「できるとこ
ろから足並みをそろえてやろう」こんな掛け声をかけながら、次々と押し寄せる荒波をな
んとか潜り抜けた。その後も公的資金に全く頼ることなくすぐにもつぶれそうであった小
さな銀行が今なお70年を超える歴史を刻んでいる。

改革はそれなりの壁にぶつかった。10年余り地銀経営を続ける中で東京戦略や女性活用
、さらにはベンチャー育成に取り組んだ。リーマンショック前で市場は元気を取り戻しつ
つあり、マーケット戦略展開へ向けて若手や女性を投入、いろいろな収益確保策を複眼思
考で展開した。ライブドアのホリエモンとのネット銀行設立構想にいち早く取り組んだこ
ともマスコミをにぎわした。一方で「故郷を忘れているのでは」との不安と怨嗟の声が水
面下に漂っていた。

OB職員の内部告発により「当局未届けの行員不祥事がありルール違反
」と業務改善命令を受ける羽目となった。まさしく金融庁が業務改善命令を多発し金融処
分庁と揶揄された頃の出来事である。親しいメガバンクの副頭取(のちに頭取)とサシで
話をしたところ「私のところは目下5件もの業務改善命令をくらってますよ」との内輪話
をされた。当局のスタンスに首を傾げつつも、「ともかく報告しなかったのは事実であり
、その責めはトップの私にある」と自ら責任を取り、経営の舞台を降りた。「あとはすべ
て任せる。しこりを残すな。これからは地元回帰の原点にいち早く立ち返るように」バト
ンを渡す際にそんな言葉を託した。

退任を待っていたかのように二人のベンチャー経営者から声がかかる。「あなたは金融界
には向いてない」。そんな誘いの言葉であった。先進的取り組みが注目されつつあるIPO
目前のいきのいいベンチャー企業二社のサポートを始める。現在のMRI社のスタートであ
る。

5年ぐらい経ったころ、突然経済同友会の重鎮から呼び出しがあり「民営化5年経過した
高速道路会社の経営をやってほしい」との声がかかる。「全く未知の分野ゆえ一週間考え
させてほしい」と答えたが、「地銀経営での経験を活かし向こう傷を恐れず改革に向かっ
て果敢に取り組んでほしい」との時の国土交通大臣からの励ましの言葉もあり、「いささ
かでもお役に立つなら」と受けることとした。完全民営化には程遠く、課題山積の中での
2年間の経営であったが、学ぶところは多かった。金融と違いインフラビジネスならでは
緊張感もあった。「マイナス情報ほど早く上げてほしい、責任は私がとる」着任早々阪神
高速道路グループ会社含め全職員三千人にこのメッセージを伝えた。そんなさなか、あの
NEXCO中日本での笹子トンネル天井崩落事故が起こった。「安全・安心」このキーワー
ドを改めて学ぶところとなった。

任を終えると、もとのベンチャー企業育成ビジネスに戻った。ここでもなお課題は山積、
どうすれば日本の若者が新しいビジネスに挑戦するか、ベンチャー育成へ向けスタートし
てからほぼ15年、平成時代の後半はこのビジネスに携わってきた。新しい令和の時代の
若者は果たしてどんなチャレンジをしてくれるのだろうか、期待は込めつつもその道のり
は決して平たんではないように思う。

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