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官民ファンド「産業革新投資機構」の全役員辞任に思う

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政府主導で民間資金も呼び込み、産業界の新陳代謝を促すと期待されて船出した「産業革
新投資機構」であるが、このほど民間出身の全取締役の辞任により暗礁に乗り上げた。
これまでの経緯を見ると、大株主である国(経産省)と運営を任された民間経営者が双方
メデイアを自分たちに都合よく使おうとの意図が見え隠れしないでもなく、時代をにらん
だものの考え方やこの国の活力を取り戻そうという最も大切なところが伝わってこないの
が残念である。
今回の混乱の背景には「高額報酬をめぐる大株主の役所と任された民間経営者たちとの確
執」があり、マスコミの間でもその声が飛び交っているが、今から8年前の2010年5
月、時の国土交通大臣から「高速道路会社は民営化後5年経過、これまでの天下りトップ
全面解消のため会長兼社長に就任してほしい」と打診された時のことが思い出された。
その話を受けたとき、待遇条件といった些末なことよりも「JR,NTTに次いで、高速道路会
社の民営化へ向けての一里塚、そのための重要なミッッション」との思いが強く、「地銀
経営時代同様、向こう傷を恐れず思い切ってやってください」との所轄大臣や経済界重鎮
たちからの励ましに身が引き締まる思いがしたことが忘れられない。
間もなく幕を閉じようとしている平成という時代にこの国が直面した課題、すなわちバブ
ル崩壊からゼロ成長へ、そして不良債権処理と金融再編の荒波といった未曽有の体験の
中で、悩み苦しんだ関係者の生の声がかつての仲間たちからもここへきて緊張の糸が切れ
たかのように生々しく語られてきている。
その生の声には、同じ時代に同じような悩みを抱えながらまさしくのたうち回った者とし
て、なかにはマスコミの甘言に乗せられたのか今少し気配りの欲しかった体験談もあった

多くはその渦中にあって苦しみ悩んだ苦々しい思い出であり、特に白川日銀前総裁が自ら
体験した苦悩の日々を綴った回顧録「中央銀行」は、読み進むにつれ救われる思いがした
人たちも少なくないのではと推察される。
新しい世紀になり、不良債権問題克服で地銀経営に四苦八苦していた最中の2002年春
、「銀行の未来は明るい」とのタイトルで身辺の様々なことについてエッセー風に取りま
とめたことがある。
そこでも会う人ごとに「金融界は大変ですね」と言われたが、強がりではなく「やりがい
のある時代がやってきました」と率直な感想をはしがきに記した。
時代は変わってもやはりこの気持ちに変わりはなく、昨今の金融界も「激動の時代ならで
はの知恵と工夫を生かすやりがいのある時代が続いている」と思っており、その舵取りを
任されたリーダーたちには時代をにらんだ大局観と向かい風にひるまない意欲と挑戦に期
待しながらこのコラムを書いている。

-ビジネス, 社会

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