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レバノン映画「判決、二つの希望」を観る

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中東の遠い国、レバノンの映画を初めて見た。

 

上映されたのは都心の日比谷シャンテで、映画通の間ではかなりの話題作で、ほぼ満席であった。

 

舞台は、レバノンの首都ベイルート。

 

通りの一角で起きた水道管工事をめぐる小さないさかいが、法廷の場に持ち出され、インテリのパレスチナ難民ヤーセル(カメル・エル・バシャ)と敬虔なキリスト教徒のレバノン人トニー(アデル・カラム)との係争は民族対立まで巻き込んで複雑化していく。

 

そこへ、双方の敏腕弁護士(実は父と娘)の丁々発止のやり取りや聡明な女性裁判長の毅然としながらも心温まる見事な裁き(タイトルが暗示)が絡み、傍聴席はかたずをのみながらハラハラドキドキ、法廷の場でのストーリーの行方にも目が離せない。

 

裁判は、控訴審から判決まで持ち込まれるが、この間、双方の家族(美しい妻と赤ん坊)はもちろんのこと、地域に住むそれぞれの出自を背負った若者たちをも巻き込み、そこへ混迷を極める政治情勢やマスコミ報道が追い打ちをかける。

 

中東戦争はなかなか複雑で、レバノン内戦やPLO(パレスチナ解放戦線)とアラファト議長(ノーベル平和賞)の活躍、さらには湾岸戦争、イラク紛争といった出来事はそれとなく知ってはいるが、その内情や背景となると疎くなる。

 

時代の戦禍を潜り抜けてきた、敏腕監督(ジアド・ドウエイリ)が自ら体験した配管工との口論をたたき台にしてこの映画を作り出しており、実話が随所にちりばめられているだけに臨場感あふれ、観客の目をくぎ付けにしていく。

 

かつて、アラブの映画大国は大都市カイロを有するエジプトであったが、いまや内戦終結後のレバノンにアラブ世界の俊英映画人が先を競って集結、中東一の映画大国となっている。

 

この作品は、世界でもあちこちで話題をさらい、2017年ベネチア国際映画祭ではパレスチナ難民ヤーセル役のカメル・エル・バシャが最優秀主演男優賞を受賞、さらに今年のアカデミー賞では外国語映画賞ノミネート作品(レバノン史上初)としての快挙を打ち立てている。

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