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「顔のないヒトラーたち」を観る

第二次世界大戦から70年、この時期に敗戦国ドイツの歴史認識を変えたアウシュビッツ裁判が世に問われるまでの若き検事の苦闘を描いた映画が作られた。アカデミー賞外国語映画賞ほかいくつかの賞を受賞した話題作である。有楽町の映画館の観客はやはり中高年の男性が多く、一方で、若者や女性からは敬遠されがちな作品との印象はぬぐえない。

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本年初のナチス被害者追悼式典で、メルケル首相は「ナチスはユダヤ人の虐殺によって人々の文明を否定し、その象徴がアウシュビッツである。わたしたちドイツ人は、恥の気持ちでいっぱいです。何百万人もの人々を殺害した犯罪を見て見ぬふりをしたのはドイツ人自身ったからです。わたしたちドイツ人は過去を忘れてはならない」と発言している。

この作品に対する日本人の映画関係識者のコメントも、「歴史の責任を負うべきは誰か?という日本人にも避けられない問題を突きつける」といった意見の一方、「自らの暗い過去に正面から取り組むことが、いかに困難な道であっても明るく希望の持てる未来へと導くことを示唆している」といった見方もあり、タイミングも含めそれなりの論議を呼んでいる。ただ、こうした問題を考えるに際しては、単純に「同じ敗戦国」という短絡的な括りではなく、それぞれの国がたどってきた歴史や地理的条件、さらには周辺国との関係(独と仏、日と中韓)等も併せ考えながら、足元を見つめつつ冷静かつ柔軟に判断していくことも求められよう。ともかく、いつも娯楽作品三昧の映画鑑賞であるが、久しぶりに考えさせられるところの多い、やや重厚な映画にしばしひたり、それはそれで有意義な休日となった。

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